看護と看護技術とは

【看護とは何か】

「看護」とはそもそも、患者の置かれた環境を整え、患者の回復を助けることを意味します。近代的な看護を創始したナイチンゲールの看護理論によれば、患者を精神と身体の両面において快適な状態にすることで患者を支え、回復に導くことができると考えられています。そのために看護師は患者の立場に立って考える必要があります。一方的に看護師が患者に何かを「してあげる」のではなく、患者のニーズを察知し、それを叶えることで患者の回復を助けるのが本来の「看護」なのです。
確かに投薬やリハビリといった治療がなくては患者は回復しませんが、その上で患者の自然治癒力が最大限に保たれるように環境を整えることが看護の持つ役割です。それは例えば、植物の種を適度な温度や水分を保った好ましい環境に置くことで発芽させるようなものではないでしょうか。条件の悪い場所に種を置いても発芽しないどころか種そのものも駄目になってしまいます。同じように患者を清潔で明るい環境に置けば自然治癒力も高まり回復も早くなりますが、不潔で暗い環境に置かれた患者は思うように回復はしないでしょう。

【看護技術とは何か】

「看護技術」と言うと何を思い浮かべるでしょうか?注射や清拭、手術の補佐といった看護師が行う専門的な技能のことだと思いますか?おそらく普通はそういったプロの看護師だけができるような高度な医療行為というイメージを持ちますが、もっと簡単なこと、例えば患者の痛いところに手を当てて痛みを和らげるだけのことでも看護の技術なのです。看護とは患者をトータルに支援することなので看護「技術」と言っても具体的な手技だけでなく、看護を行う看護師の能力のことも指すのです。ですから、看護師が患者の様子をよく観察し、患者の必要としているものを素早く察知できる能力も一つの看護技術と言えます。
もちろん、プロとして素人にはできないような医療行為を行うのは看護師の重要な仕事です。そういった目に見えるスキルやテクニックは現場での経験や実習、研修等で日々培うことができるものです。これらは語学やスポーツのように経験を多く積むことで上達できるものなので看護師にとっては毎日が看護の具体的技術を磨く場でもあります。
もし、単に注射を打ったり検査をするといった表面的な看護技術だけを文字通り「機械的に」行うのであれば正確なセンサーやアームを持たせたロボットを使った方がはるかに均一で正確な医療行為ができるでしょう。しかしそれは本当の意味での「看護」技術なのでしょうか?最初にも述べたように「看護」とは本来患者の回復を助けることを意味します。いくら作業が正確で病気が早く治ると言われても機械に囲まれた状態で「看護」してもらう患者はどのように感じるでしょうか?患者にとっては人間対人間として看護師が対応してくれることこそに大きな意味があるのです。だからこそ看護師には単に看護の手技が巧みなだけではなく、患者のことをよく見て対応する対人的な技術も重要になってくるのです。